地震に強い家というのは、建物だけで決まるわけではありません。どこに建てるのか、その土地の地盤も大きく影響してきます。今回は、建物の性能を充分に発揮するための地震に強い土地を見つけるためのポイントや、地盤を強くするための地盤改良工事についてご紹介します。
■地震に強い土地・弱い土地とは?
地震に強い土地ってどんな土地だと思いますか?実は一概には言えません。ただ「地盤が固いかどうか」と「液状化しやすいかどうか」が重要なポイントになります。
●地盤が強い土地とは?
地震に強い土地(=地盤)とは、岩盤もしくは砂れき、砂、粘土がバランスよく一様に分布する地盤により構成されているものが強いとされています。地盤が強いと、地盤改良工事にかかる費用が無くて済むなどのメリットがあります。
●地盤が弱い土地とは?
地震に弱い土地(=地盤)とは、粘性土や水を多く含んだ土、また緩く堆積した砂などでできている土地のことです。もし、この土地で何も対策せずに家を建ててしまうと、不同沈下が起き、家が傾いてしまうリスクがあります。一般的に、地表付近の地盤が軟弱な場所では、固い地盤の場所に比べて地震の揺れが大きくなると言われています。
●液状化現象とは?
液状化とは通常土粒子同士が強く結束して安定状態となっているものが、地震の影響により、地面が強く揺らされる事で、土粒子が離れ、土の間に含まれる間隙水の水圧が上昇し、水の中で土粒子が自由に動く液状状態になります。地震後土粒子は下に沈み、上には水がたまった状態になることを言います。
●液状化しやすい土地とは?
液状化は間隙が大きく緩く粒径のそろった柔らかい砂地盤で起きやすくなっています。特に、砂丘地帯や三角州、埋め立て地などで発生しやすいとされています。また、地下水位が高いところも間隙が水で飽和されるため、液状化が起こりやすい状態にあると言えます。
■地盤調査の流れ
地盤調査のおおまかな流れは、図面決定→調査申込→現地にて試験→結果報告となります。図面決定後に試験を行うのは、建物の形によって調査をする地点が変わってくるためです。基本的には建物の四隅、そして中心部分で試験を行います。
■地盤を調べる方法とは?
戸建て住宅の一般的な地盤調査は先端がスクリュー状になった棒を回転貫入させて行うスクリューウエイト貫入試験(SWS試験)という方法で行います。より深い深度かつ地盤構成を調べる場合は標準貫入試験(ボーリング調査)を追加で行うのが一般的です。
■地盤が弱いとわかったときにする改良工事とは?
地盤が軟弱であったり、バランスが悪く不同沈下の可能性が懸念される場合は、地盤改良工事を行います。主に採用している2つを紹介します。
●表層地盤改良工法
適用地盤:軟弱地盤がGL-2m以浅に分布している地盤、改良深度以深に有害な沈下の可能性がない地盤が分布していることが条件
セメント系固化剤と土を混ぜて締固め、地盤の強度を高める方法です。地表から2mまで、比較的浅い位置に支持層がある場合に採用されます。改良状況が目視確認できますが、水位が高い、粘土質の地盤の場合は施工性が悪いです。施工後養生期間が必要になります。
●RCパイル工法
適用地盤:杭径の100倍以下、おおよそ深度20mまで適用可能、改良深度以深に有害な沈下の可能性がない地盤が分布していることが条件
既製のコンクリート杭を打ち込み、建物を支える工法です。支持層がおよそ深度20m以浅にあることが条件となります。RCパイル工法は既製品を使用するため品質が安定しています。支持層に達する工法であるため、圧密沈下も防止し支持層深度が不均一な地盤にも有効です。コンクリート杭を打ち込むので養生期間もいりません。支持層が深いケースに採用する事が多いので、深いほど打ち込み深度が深くなり使用するコンクリート杭が多くなり高額になってしまいます。