快適で暮らしやすい住まいをつくるためには、間取りはもちろん、通風や採光、断熱性や省エネルギー、ユニバーサルデザインなど多くのことを検討する必要があります。その中でも、お手入れや掃除のしやすさは日々の暮らしの快適さにも大きな影響を与えるポイントのひとつでしょう。今回は掃除のしやすさに影響するアイテムなどお伝えします。
■床材は使用する部屋に合わせた機能を持つタイプを
広い面積を占める床材は素足で歩いたり、座ったりと肌が触れることも多く、清潔さを保つことができる素材を選びたいものです。一般的な住宅の居室に使われる床材は、木質フローリングやコルク、カーペット、クッションフロア、タイルなどそれぞれ耐汚性や耐水性、メンテナンスなどに配慮されているので、空間の使い方や暮らし方、掃除の仕方などに適した素材を選ぶことが大切です。例えば、多く用いられている複合フローリングには、単板と化粧シートなどを張ったタイプがありますが、いずれも表面加工などによって性能が高められています。汚れやすい水まわりや子供室などでは汚れ防止や耐傷性、耐水性のあるものを。室内で犬や猫を飼っているのであれば引っかきやおしっこへの対策を施したペット用の床材を取り入れることでお手入れも楽になるでしょう。
■キッチンプランは換気扇、シンク、加熱機器がポイント
最近のシステムキッチンは汚れにくく、お手入れのしやすい工夫が随所に見られ使い勝手も高まっています。
- 換気扇
フード本体やフィルターなどの形や加工に工夫を施したものが増えています。シンプルな形状で不必要な溝や凸凹などを少なくし、汚れが溜まりにくいフード、特殊加工したファンやフィルター、整流板を用いたりフィルターそのものがないタイプも。フッ素や親水コーティングなどによってお手入れを楽にしたもの、長い期間掃除が不要のファンもみられるようになりました。
- シンク
素材そのものの工夫や形状、表面加工などによって汚れにくく、掃除のしやすいタイプが増えています。排水口のぬめりを防ぐために形状や水流を工夫したもの、排水口部分とシンクを一体構造とすることで溝がなく掃除をしやすくしたものなども。またシンク底の角度や形状に工夫を施して排水口に効果的に水が流れ、ゴミがスムーズにカゴにまとまる商品などもみられます。カウンターとシンクのつなぎ目を無くすことで汚れが溜まらず掃除がラクになるタイプもみられます。
- 加熱機器まわりの壁
システムキッチンに多く設定されているのがキッチンパネル。汚れがこびりつきにくく汚れても落ちやすい加工が施されたパネル状の壁材で、水や熱に強く油汚れにも強いのが特徴。目地も少ないのでお手入れが簡単なのもメリットでしょう。
■システムバスは床材、浴槽、ドアの汚れや水あか対策を確認
システムバスも素材や形状に工夫を施して、楽にお手入れできる工夫が多くみられます。
- 床材
各メーカーともに、表面の形状や処理加工に工夫することで水が残りにくく早く乾く床材が標準的になってきています。排水口もお手入れしやすい工夫が施されたものが多く、流水でゴミがまとまり掃除が楽なもの、汚れがたまりやすい排水口まわりもすっきりとした形状として、汚れや水アカがたまらないようにした商品もみられます。
- 浴槽
表面素材などに工夫を施し、汚れがつきにくく、簡単に掃除がしやすい浴槽が増えてきています。またメーカーによっては、蓋を閉めスイッチを押すだけで、自動で浴槽を洗う機能を持つタイプもみられます。
- 出入口扉
カビや汚れが溜まりにくいように換気口を下桟(しもざん)だけでなく、中桟部分や上部に設置したもの、換気口部分をお手入れしやすい形状としたものなども。カビの発生や浸透を抑えたパッキンを採用したり、パッキンそのものをなくすなどの工夫も見られます。
一級建築士 遠藤 利秀