季節の変わる日本では一年間の2/3は窓を閉めているって知ってましたか?そこで窓を閉めていても快適な室内環境を実現する鍵となる「3つの温度差」についてお伝えします。
■身体に負担を与える“温度差”
日々の生活の中で“温度差”はつきもの。冷房の効いた室内と屋外、暖房の効いた部屋と効いていない廊下など温度差を感じることは多々あります。この温度差は身体に色々な負担を与えているのです。例えば夏の冷房病、寝冷え、夏風邪、冬のヒートショック、脳卒中、風邪、湯冷めなど。このように寒くても暑くても温度差は私達の快適な生活を妨げるだけでなく健康を損なうこともあるのです。
■負担を感じない“温度差”とは?
- 冷房病対策[温度28℃・湿度60%が目安]
外気との温度差が5度以上あると暑い時に働く副交感神経と冷えた時に働く交感神経のバランスが崩れて、不眠・だるさ・肩こりなどを引き起こし、時には夏風邪の原因にもなりかねません。夏の間冷房に入りすぎて体調を崩した経験がある人も多いのでは・・・
- リラックス度・快適度UP[上下温度差2℃以内]
足元は冷たいのに頭の方だけが暑いという状態は決して快適ではないですよね。このように私達がリラックスしたり、快適と感じるためには室内の上下の温度差が大きく関係しています。床から1.2mの間の上下温度差とリラックスの相関関係を実験した結果、温度差“2℃以内”であれば、人ははっきりと快適を意識することができ、4℃以上の温度差があると、快適と言えないことが判明しています。できれば居室内の上下温度の差は“3℃以内”にすることが望ましいです。
- ヒートショック対策[最低室温17℃+最大温度差3℃~5℃]
ヒートショックとは急激な温度変化が体に及ぼす影響のことで室温の変化によって血圧が急激に変化し、脈拍が早くなったりすることです。暖房をした部屋とトイレなど、寒い冬場に多く発生します。多くの実験の結果、ヒートショックを防ぐ冬の平均温度差は3℃~5℃以内であることが望ましいといわれており、暖房居室と非暖房居室の温度差は5℃以内、廊下とトイレの温度差は3℃以内に。また室温は血圧上昇10mmHg以下であれば、高齢者でも安心ということから“廊下や浴室・トイレなど非居室で17℃”を安心レベルとしています。
■理想の室内環境を守る3つの“温度差”
①水平の温度差:家の内外温度差・住居内の室間温度差など、水平方向の温度差を指す
- 冬の室内温度差は・・・暖房居室と非暖房居室[5℃以内]
廊下とトイレ[3℃以内]
- 推奨の温度・湿度は・・・夏27~28℃・50~70%(内外温度差5~7℃)
冬20~21℃・40~50%(非居室の下限17℃)
②時間による温度差:夜~朝の温度差、夏・冬共に空調を切ってから翌朝までの温度差を指す。
- 快適を得られる寝室の温度・湿度は・・・
冬季は[室温下限16℃]を保つ
夏季は[室温上限28℃・湿度70%以下]を保つ
これらの値を目安として室温を維持することで時間による温度差を緩和します。
③上下温度差:室内の上下間の温度差、床と床から1.2m及び天井との温度差を指す。
- 快適でリラックスできる温度差は・・・床と床から1.2mの温度差[2℃以内]
床と天井の温度差[3℃以内]
以上の条件をクリアすることで室内環境は良好となり、私達は快適な生活を送れるのです。最近ではこの3つの温度差を無くすことを「温度のバリアフリー」とも言います。