家事の動線や家具・家電の配置、コンセントなどについては、間取りを考える際にしっかり計画を立てる人が多いでしょう。しかし新居のネットワーク環境をどうするかについては十分に考えないまま家づくりを進めてしまうケースが少なくありません。ここ十数年で、ネットワーク接続を必要とする電子機器(パソコン、テレビ、レコーダー、ゲーム機、エアコン、冷蔵庫など)は格段に増えました。携帯電話についても、ガラケー時代とは違い、スマートフォンをWi-fiに接続して利用する場面が増えています。今後もインターネットへの接続が必要な機器は増えていくことも予想され、将来を見越した余裕のある環境作りが必要となっています。
■ネットワーク環境を考えるタイミングは?
一般的には、電気の配線を決めるのと同じタイミングで考えられることが多いようです。しかし、快適で使いやすいネットワーク環境を作るためには、もう少し早いタイミングで考え始めることが必要です。ネットワーク環境の中心となるのは、まずモデムとルーターです。モデムとルーターも大きな機器ではありませんが意外と場所を取ります。配線だけでも、インターネット回線のためのケーブル、それぞれの電源を確保するための電源ケーブル、モデムとルーターをつなぐためのケーブルが最低限必要になります。ルーターに有線接続する機器があればさらにLANケーブルがつながるため、モデムとルーターのまわりは配線だらけになります。モデムやルーターの設置のためには、配線と排熱の余裕がある、ある程度のスペースが求められます。床に直置きするとホコリが溜まる原因になるため、棚などを用意する必要があるでしょう。棚を置くとなると間取りが完全に固まった後では遅すぎます。電気と同じタイミングではなく間取りを考える段階でネットワーク環境のことを考えなくてはなりません。部屋の中をケーブルが横切ることのないようにルーターとの距離や壁の中への配線の有無を考えなくてはなりません。
■無線LANと間取り
無線LANを使用するのであれば、間取りを気にしなくても大丈夫と思うかもしれませんがそれは誤りです。無線LANの安定性は向上していますが、電波の強度には法律による制限があります。あまり離れた場所には届きません。家中で快適に無線LANに接続できるようにするためには家の中心に親機を設置するのが一番です。無線LANを利用する場合でも間取りの段階からネットワーク機器の置き場所についてはよく検討する必要があります。
■無線LANの親機は1階に置くべきか、2階に置くべきか
2階建ての住宅の場合、どの階に無線LANの親機を置くかというのも重要な問題になります。無線LANの電波は障害物による影響が大きく、設置場所によってどれだけ快適に通信できるかが変わります。特に直上・直下の方向には弱いため、2階建て以上の住宅では気を付けるようにしましょう。基本的には、無線LANに接続する機器を一番使う階に設置するのが良いでしょう。1階にリビングがある場合は、1階に親機を置くのが、おすすめです。
■有線接続と無線接続
いくら無線LANが使いやすくなったといっても、やはり安定性と速度はまだまだ有線接続の方が圧倒的に上です。あまり移動しないものや通信量の多いものについては有線LANで接続し、移動の多いものについては無線LANを利用するなど、使用する機器によって使い分けするようにしましょう。テレビやレコーダーなどは移動もなくネットワークに接続している機器が集中するため、その近くにモデムやルーターを置くのも良いでしょう。ルーターや無線LANの親機は1階に設置するのがおすすめですが、2階に書斎があったり個人の部屋があったりなど2階でも有線LANを使いたいというケースもあるでしょう。こういった場合は、部屋の中にケーブルを這わせるのではなく、壁の中に配線してもらうのが1番スマートです。費用はかかりますが、ケーブルがじゃまにならず、掃除も楽です。今は有線接続の必要がなくても、将来必要になるかもしれません。あとから壁の中に線を通すのは難しいため、将来の拡張性を考えて空配管だけしておくのもおすすめです。