消費税の増税によるマイホームの駆け込み需要とその反動を懸念して、住宅ローン減税が拡充されました。しかし、それでもなお増税分が軽減されない人については、給付制度も用意されています。それが「すまい給付金」。その内容をご紹介します。
■消費税増税の影響を減税と給付金で緩和
2014年4月に消費税が8%に引き上げられました。2019年10月からさらに消費税が10%に引き上げられることが決まっています。消費税の増税によってマイホームについては、住宅を購入する際の建物価格や建築する際の工事費用、住宅取得に必要な諸経費の一部などで増税によって消費者の負担が重くなります。住宅の場合は増税の影響が大きいため、駆け込み需要を懸念して住宅の需要を平準化する目的で「住宅ローン減税」の拡充が行われました。しかし、収入が低いなどの理由で所得税などの納税額が少ない人は住宅ローン減税を拡充してもあまり恩恵を受けられない場合が考えられます。それを考慮して住宅ローン減税を補完する形で創設されたのが「すまい給付金」です。住宅ローン減税やすまい給付金の適用期限は2021年12月までです。
■「すまい給付金」とは?
「すまい給付金」とは、住宅取得の際に消費税率が8%または10%が適用された場合、一定の条件に該当する人に給付金(最大で税率8%時30万円、税率10%時50万円
)を交付する制度です。では、どういった条件があるのでしょうか?まず取得する住宅は、新築住宅だけでなく中古住宅も対象となります。ただし、条件が異なります。売り主が個人である個人間売買が中心となる中古住宅の場合は、消費税の課税対象にならないことが大半なので中古住宅に限っては「売り主が宅地建物取引業者であること」という条件が加わります。また基本的には、「自ら居住する」、「床面積50平米以上の広さ」、「住宅の品質が確認された住宅」であることが条件となります。ただし、品質が確認された時期や検査の内容が、新築と中古では異なりますので、詳しくは住宅の販売や仲介をする不動産会社、建築を依頼した施工会社などに確認をしましょう。次に、住宅ローンを利用した人だけでなく、利用しなかった人(現金による取得者)もすまい給付金の対象になります。ただし、現金取得者の場合はローン利用者の条件のほか、さらに追加条件を満たす必要があります。「50歳以上」で「収入額の目安が650万円以下(実際には都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)」であるといった取得者の条件に加え、新築住宅に限っては「フラット35S」の基準を満たすという条件が加わります。
■収入(都道府県民税の所得割額)によって給付基礎額が変わる
給付金の受け取り額ですが、まず収入と適用される消費税率によって給付基礎額が異なります。住宅ローン減税の恩恵を受けづらい層ほど、手厚くなる仕組みです。ただし、収入のとらえ方に注意が必要です。収入は「都道府県民税の所得割額」で判断されるからです。収入額の目安(税率8%時は510万円以下、10%時は775万円以下など)が提示されてはいますが、あくまで参考のもので、実際には市区町村が発行する住民税の課税証明書で、都道府県民税の所得税額を個別に確認する必要があります。
■住宅の持ち分割合で収入によって納付額が変わる
いくら給付金を受け取れるのか。給付基礎額が全額受け取れるわけではありません。登記上の「住宅の持ち分割合」だけ給付されるからです。したがって共有名義の場合は持ち分のある人ごとに申告して計算されます。夫がローンを利用して8割持ち分がある場合は、収入に応じた給付基礎額の8割が給付されます。一方、妻が頭金を現金で払い、2割持ち分がある場合は、50歳以上などの現金取得者の条件に該当する場合のみ、給付金が受け取れます。また、同居していない親が頭金を払ったなどの場合は、親に2割持ち分があったとしても、自ら居住するという条件を満たさないため、給付金の対象から外れます。
給付基礎額 × 持ち分割合 = 給付額