間取りを考える時、家づくりの要望を聞くとほとんどの方は「明るい家」と答えます。それだけ明るい家にしたいと思う方は多いです。せっかく家を建てるなら明るい家にしたいと思うのも当然のこと。その他「明るい家」以外に多いキーワードもあります。それが「風通しの良い家」です。明るいだけでなく、やはり風通しの良い家にしたいと思われる方も多いです。風通しが良ければ暑い時期に家の中の温度を下げることができますし、空気が流れるのでカビ等の発生を防ぐ要因にもなります。何より家の中を吹き抜ける風は気持ちのいいものです。今回は風の特性を見ながら、風通しの良い家のつくり方についてお伝えします。
■地域や季節によって風が吹く方角が違う
風の特性を知ることが風通しの良い家にするための第一歩となります。あなたの住む地域ではどの方角から風が吹くのでしょう。それぞれの地域によって風が吹いてくる方角が違い、特性があります。まずはその地域の風が何処から吹くことが多いのかを知る所が風通しの良い家にするためのスタートになります。また地域の特性の中でもう一つ注目しておきたいポイントがあります。それが季節と時間による風の向きです。風の向きは季節と時間によっても変わってきます。夏場は南風が多くても、冬に近づくにつれて北風が多く吹くような地域は多くあります。ほとんどの方は、夏場は風を家の中に入れたいが、冬の冷たい風は家に入れたくないという方は多いでしょう。家の中の温度を下げたい時は効率的に風を取り入れて、反対に寒くなってしまう冬場は風の影響を少なくするのが重要になります。夏の日中は暑いのでクーラーを使っても、夜はできれば自然の風を入れて眠りたいという方も多くいらっしゃいます。そんな場合、夏の夜にどこから風が吹いてくるのか把握しておくことが、とても重要になってきます。やはりこの風向きの特性を活かした上で、窓を配置していくのがポイントとなってきます。どこから風が吹いてくるかというデーターは気象庁のホームページから見ることができます。
■風通しの良い家にするための方法
風通しの良い家にするためには、地域の風向きの他に周辺環境についても考慮する必要があります。住宅地では敷地の周りに家が建っているので、思ったように風が入らないケースもあるからです。周りに何も無い一軒家であれば風の方角を把握しているだけでも問題ありませんが、周りに家が建っている場合、風は周りの家に当たった後、今度は家と家の間を縫って風が通り抜けるようになります。この家と家との間の風を取り込むことでより風通しの良い家にすることができます。風の向きにプラスして、家の周りの環境もしっかり把握しながら窓を配置する。これが風通しの良い家にするためには必須となります。そして家と家の間を抜ける風を取り込むには、窓の種類も重要です。例えば、引き違い窓はすぐ隣に家が建っている場合は風を入れる窓としてはほとんど役に立たなくなってしまうのが難点。真正面からの風は取り込めても、家の間をすり抜けていく風は取り込めません。窓を配置する場合は、風はその地域の特性だけでなく周りの状況も踏まえた上で最適な窓を選んでいく必要があります。
■縦すべり窓を上手く使う
風通しの良い窓にするために、一番効果的な窓なのが「縦すべり窓」。縦すべり窓とはドアのように開く窓のこと。縦すべり窓は正面からの風はもちろん、横から吹いてくる風も窓がウィンドーキャッチャーの役割を果たしてくれて、家の中に風を取り込めるようになります。縦すべり窓を上手く使うことが、風通しの良い家の第一歩となってきます。もちろん、風通しが良いからといって家の窓全部を縦すべり窓にするのは現実的ではありませんし、それぞれの窓の種類によって役割は違ってきます。必要な場所に必要な窓を配置していく。風通しの良い家にするためのは、これが一番重要です。
■風の入口と出口を作る
風通しの良い家にする場合、風の入口だけでなく、風の出口を作ることも大切なポイントとなります。風の出口が無いと、風が家の中に入ってこなくなってしまうのが大きな原因です。そのため風通しの良い家にする場合、家全体、または部屋の中で風の入口と出口を想定しておく必要があります。例えば、窓が一つしかない部屋であれば窓を二つにするというのも効果的です。大きな一つの窓よりも小さな二つの窓の方が風は入ってきます。また、窓を二つ付けた場合でも、窓の位置によっても風通しは違ってきます。部屋の中に空気の淀みができないかチェックすることで、風通しの良い部屋にできます。