北国は一般的に、冬は寒さが厳しく夏は冷涼なイメージですが、最近は真夏日になることも珍しくありません。Tシャツから厚手のダウンコートまで、季節に合わせた服はもちろん、マフラーや手袋、帽子やバッグなども必要です。「衣類の収納」は、家づくりにおける大きなテーマの一つです。せっかく家を建てるなら、これまでの悩みを解消して、すっきりと片付けやすく、使いやすくしたいですよね。でも、ただウォークインクローゼットを設けたり、収納スペースをたくさんつくったりすればいい、というわけではありません。それが収納のむずかしいところ。そこで今回は家づくりの参考にしたいクローゼット収納の基本と上手な使い方についてお伝えします。
■クローゼットの使い勝手の良さは「寸法」で決まる
造り付けのクローゼットの寸法でポイントになるのは「奥行き」です。クローゼットはいわば「洋服ダンス」を建物に組み込んだイメージのものですから、基本的に奥行きは60㎝ほどが適しています。またクローゼットの扉は天井近くまでの高さにしましょう。一般的なクローゼットでは、ポールの上に棚板をつけて物が置けるようにしますが、扉の高さが2m程度だと置きたい箱などが扉の上枠に当たって入らないことがあるからです。この点も要注意です。ハンガーを掛けるポールの高さが合っていないと小さなストレスになります。また衣類をたくさん収納できるようにとポールを上下2段に設置する場合は、ロングコートや丈の長いワンピースの裾が折れ曲がることなくかけられる場所を想定しておくことも重要です。
■ウォークインクローゼットの上手な使い方
ウォークインクローゼットは衣類の収納部屋としても人気で、採用するご家族もかなり増えています。その配置も必ずしも寝室の隣ではなく、LDKの一角やユーティリティの隣など、各家庭の暮らしやすさに合わせて、柔軟にプランされています。ゆったり設計のウォークインクローゼットは納戸のような使い方もできる便利な空間ですが衣類をより長く良い状態で保管するためにおさえておきたいポイントが2つあります。
- カバーやタンス、衣類ケースで衣類を保管
基本的にウォークインクローゼットは、部屋に服を出しっぱなしにしているのと同じです。しばらく着ない服は、意外とホコリっぽくなりやすいので、冠婚葬祭用やよそ行き用など着用頻度が低い服はカバーをかけておくと、急に着る事があっても綺麗な状態で袖を通すことができます。またこれはクローゼットにもいえることですが、扉があってもタンスほど気密性は高くありません。扉がないお住いではなおのこと。気密性がなく防虫剤の効果が期待しにくい環境です。そこでおすすめなのが、タンスや密閉性の高い衣装ケースをクローゼットと組み合わせる収納方法です。季節に合った服だけをハンガーに掛け、デリケートな素材や季節ものの衣類はタンスや衣装ケースに収納して、防虫剤を使用しましょう。
- 紫外線対策で衣類の変色を防ぐ
ウォークインクローゼットに窓を設ける場合は、遮光性のあるカーテンやロールスクリーンなどを付けましょう。というのは、外から射し込む太陽光に含まれる紫外線の影響で、日の当たる部分だけ服が日に焼けて、色が変わってしまうことがあるからです。また蛍光灯も紫外線を発するので要注意です。できればウォークインクローゼットの中はLED照明にしましょう。光の色は「温白色」か「昼白色」にすると、紺色と黒色の衣類が見分けやすくなります。
■ウォークインクローゼット活用術
広さのオススメはウォークインクローゼット3帖+納戸2帖の計5帖程度。棚やポール、引き出しなどは、つくり過ぎると物の量が増えたり、生活スタイルが変わったりした時に対応しにくくなるのでお手持ちのチェストや衣装ケースなどを使って活用するとよいでしょう。クローゼットの中に、身支度チェック用のミラーがあると便利です。ただしミラーの前に立ったときに、背景がなるべくスッキリとして雑多なものが写り込まないようレイアウトを工夫したいところ。納戸は、ざっくりとした造り付けの棚があると、空間を縦方向に有効利用できます。スーツケース、シーズンオフの寝具、脚立など、衣類以外で使用頻度の低いものを出し入れしやすく収納できるように設計すると、収納ストレスを減らせて、気持ちよく暮らせます。収納計画の大前提は自分たちの持ち物の総量を正しく把握することです。見積を誤るとせっかくつくったクローゼットに収まりきらず、新居が早々に散らかってしまいます。まずは今の持ち物で必要なもの・必要ないものを選り分けることからスタートして下さい。