一般的に、キッチンの正面に立った時、背中側に収納を設置する場合が多いです。背面収納のレイアウトを考えるには、自分が収納スペースに何を置くのかを知らなければなりません。今回は、各収納部材の紹介と、どのように収納をレイアウトすべきかをお伝えします。自分自身に合った収納にすることで、収納効率はぐっと向上します。
■収納場所によって役割は変わる
収納部材には、それぞれ配置される場所と役割があります。それは大きく3つに分類されます。
- フロアキャビネット:フロアキャビネットとは、床から腰くらいまでの背の低い収納のことです。フロアキャビネットには、観音開きの開き収納や、スライド引き出し収納があります。他に中をくり抜いたオープンスペースやキャスター付きゴミ箱のゴミワゴン付き収納が付属している物もあります。カウンターになっているため、フロアキャビネットの上に家電を置いたり、サブの調理スペースとして使ったりできます。
- ウォールキャビネット:ウォールキャビネットとは、顔より上にある吊戸棚タイプの収納です。観音開きタイプがほとんどです。フロアキャビネットの上に設置されることが多く、下にキャビネット上にウォールキャビネットという構図は良くあります。ただし背の低い人は使いにくいという欠点があります。ウォールキャビネットの中でも上の段は、天井に近い所に位置するため、背が高い人でも使いにくい部分です。モノの出し入れは踏み台が必要となり、その煩わしさからあまり機能しない収納になりやすいです。
- トールキャビネット:トールキャビネットは床から天井付近まである、背の高い収納のことです。上から下まで収納があるため、大きな収納力を持っています。しかしフロアキャビネットのように、作業台として使うことはできません。たくさん食器を持っている場合は、大きなトール収納を設置すると良いでしょう。
■収納タイプの種類
- 引き出しタイプ:引き出しタイプは、スライドして引き出すキャビネットです。だいたい上段の引き出しが浅く、下段の引き出しほど深い形になっています。上段の引き出しには、箸やカトラリー類を入れることが多いです。下段の引き出しはボトルなどの背の高いものを収納することができます。
- 開き扉タイプ:開き扉タイプは観音開きのキャビネットです。引き出しでは入らないような背の高い物、大きいものを入れると良いです。
- オープンタイプ:オープンタイプはぽっこりスペースを空けたようなキャビネットです。中に収納できないようなものを置いておくスペースとして使います。ゴミ箱を置いたり、キッチンで使う用のイス、高い所のものを取る用の踏み台を置いたりします。
- 家電収納タイプ:家電収納タイプはその名の通り家電を収納するためのキャビネットです。置いた家電をスライドして手前に引き出せるようになっています。家電を置くことを想定しているため、収納の中にはコンセントがあります。また蒸気排出ユニットをつけられる場合があります。蒸気排出ユニットとは、収納内で蒸気の出る家電を使っても蒸気だけ手前に排出できる機械のことです。水蒸気が直接収納に当たっているとその部分から傷んでくる可能性があるためです。蒸気排出ユニットがあると、蒸気を気にすることなく使えます。
■冷蔵庫・ゴミ箱の位置を考える
収納のレイアウトを考える際に、忘れてはいけないのが、冷蔵庫・ゴミ箱の存在です。キッチンには冷蔵庫とゴミ箱は必要不可欠です。収納をばっちり決めても冷蔵庫を置くスペースがなくなってしまっては、キッチンとして成り立ちません。ゴミ箱が無ければ、調理中不便で仕方ありません。調理中の動きを考えて、冷蔵庫・ゴミ箱をどこに配置するか考えましょう。
- 冷蔵庫の置き場所:調理中は何度も冷蔵庫を開けます。調理中の動きを考えた際に、冷蔵庫の位置は重要です。調理動線をチェックする方法として、ワークトライアングルという考え方があります。3辺の総和が3m60㎝~6mが適当とされています。それぞれの辺が長くなるとムダな動きが多くなります。冷蔵庫の位置は、端っこに設置することが多いと思います。このワークトライアングルを意識し、冷蔵庫の位置を見直してみると良いでしょう。
- ゴミ箱の置き場所:調理中にゴミは必ず出ます。ゴミ箱はすぐ手の届く位置に設置すると、使い勝手が良くなります。今では収納の一部にゴミ箱を設置しているキッチンメーカーもあります。キャスター付きですぐ動かせるゴミワゴンや、扉面材と合わせてゴミ箱とわからないものもあります。ゴミ箱はサッと捨てられる位置に設置するのが一番良いです。